私のようにある程度年齢を重ねてしまうと、礼服を着る機会が増えてきているように思えます。日本では礼儀として服装には十分な配慮が必要で、身だしなみができていないと人間性まで疑われてしまうことがあります。特に「お葬式」ではビシッとした礼服は必須であり、ヨレヨレの礼服を着ていたら親戚に何を言われるかわかったものではありません。
海外ドラマを見ているとアメリカ軍の葬儀では、ビシッとした軍服を着て故人との別れをしているシーンがあります。ドラマとは言え見ているだけで「カッコいいー」と思うのですが、やはり正式な場では「場に合った服装」が重要なのは間違いないようです。
以前出席した結婚式で招待客の一人が、ラフな服装で来ていて妙に浮いていたことがありました。本人は自己主張のつもりでしょうが、周りから見たら「なんだアイツ!」と思われていたでしょう。後から新郎に聞いたらその人は礼服を持っておらず、また購入するお金もなかったそうです。
礼服はお祝いの席や葬儀などでその人の心を現す鏡ともなります。できることなら恥ずかしくない状態で出席したいですね。
結婚式であれば数か月前に招待状が送られてくるので、その日までに礼服を用意することは難しくありません。しかし、葬儀の場合では突然の連絡と早ければ翌日にはお通夜、そしてお葬式に行かなくてはいけません。これは何も珍しいことではありまが、私の場合ちょっと困ったことがあったです。
今から1年前の話ですが、突然親から電話が入って親戚の叔父さんが亡くなったとの内容でした。お通夜は明後日、そしてその翌日がお葬式との段取りだそうです。さっそく妻に電話をして礼服を準備するように言って、仕事から帰ったのです。
家に帰ると礼服の準備はできていましたが、ちょっと不安があります。実はこの礼服を着るのは3年ぶりで、その間に自分の身体は大きく成長していたのですね。つまり太っていたのです。
3年前と比較して10Kg以上も太ったでの、正直「このズボンは入らないでしょう…」と思っていました。妻も同意見で「今から痩せる?」などと小馬鹿にしています。「大丈夫だ!」とお腹を引っ込めてパンツを履いてみますが、ウエストが全く入りません。
「うーん…困ったぞ」妻と顔を見合わせて考え込んだのですが、明日までに痩せる方法などありません。お通夜は明後日の夜です。「仕方がない明日、買いに行くか!」この時点ではこれしか方法がないと思いました。
もう家にある礼服は諦めて購入することにしたのですが、礼服はそんなに安く買えるものではありません。妻は費用を捻出するのに電卓をたたいていますが、なかなか諦めが付かない様子です。「あなたが太るからいけないのよ!」ハイその通りですよね。
そしてそれから1時間程度たった頃でしょうか、妻が急に大きな声で言ったのです。「礼服のレンタルってどう?」と。
DVDのレンタルはよく利用しますが、礼服のレンタルは初めて聞きます。妻の話ではインターネット上には様々な礼服・喪服のレンタルがあり、早いところでは即日発送してくれるショップもあるそうです。また料金も4000円~6000円で、購入するよりもずっと安く済みます。
レンタルの礼服を見つけた妻は、もうレンタルを利用する気で一杯です。購入すると5万円はする礼服が4000円程度で済むのですから、それも無理はありません。結局私もレンタル利用を了承することになったのです。
私がレンタル礼服を了承したのは金額だけの問題ではありません。(妻は金額だけだったのですが…)今回自分の礼服が使用できなったのは、サイズが変わってしまったからです。つまり今回、高い値段で購入してもまた同じことになる可能性が否定できないのです。
これからまだ太るかもしれないし、痩せてしまうかもしれません。太ると入らないけど、痩せてダボダボになるのも格好の良いものではありませんよね。やはり礼服は軍服のようにビシッと着込みたかったからです。
そうなるとこれからのことを考えても、礼服はあえて購入しないでレンタルで済ませることはとても合理的な判断だと思えるのです。
早速、その日の晩にインターネットで探した中から1社の「フォーマルレンタルショップ」を選びました。大手のショッピングサイトでも出店しているショップなので、特に不安もなく安心して申し込みすることができたのです。料金は3泊4日で4800円でした。
送料も原則無料で返却が1日遅れると1000円の費用が新たに発生するようです。発送は即日なので私のケースでは夜に申し込んで、翌日の昼過ぎには自宅に到着しました。また急ぐ場合には東京都内であれば直接受け取れるお店があるので、そこに行くと即日で利用することもできます
ここのレンタルショップは単に礼服をレンタルするのではなく、いくつかの種類があり「礼服セット」「礼服フルセット」などを選択できます。礼服セットには「礼服」「ネクタイ」「サスペンダー」ですが、礼服フルセットには「ワイシャツ」や「靴下」、さらに「礼装用革靴」までが含まれています。
フルセットをお願いすると、もう何も準備する必要はあえりません。私の場合も黒の革靴がヨレヨレでシュークリームもなかったので、どうしようと思っていたのでフルセットに助けてもらいました。
フルセットは標準セットに比べて2000円程度高く6800円程度だったのですが、ワイシャツだけでそれくらいするので高い買い物とは思いません。それより得した気分ですよ。
翌日送られてきたレンタル礼服は新品のように綺麗な状態でした。正直に話すと他人が着た礼服を着るのには少し抵抗があったのですが、実際に届いた商品を見ると他人が着たようには思えません。全く新品のように見えました。
これなら安心して着ることもできます。そしてお通夜の当日、レンタルの礼服を着た状態で行ったのですが、親からは「新しい礼服を買ったの?」と言われて、ちょっと恥ずかしかったですね。まさかレンタルとも言えないから…。
お通夜から翌日のお葬式と全てが順調に終わり、予定通りに3泊4日で礼服を返却することができました。
礼服は急に必要になるものですが、普段は利用することがありません。そのためにいつもタンスの奥にしまわれていることが多く、カビたりシワができていたりすることが普通です。妻もレンタルで済むのならこれからはレンタルで済ませたいと希望しています。
礼服レンタルのサイトによってはお祝い用の洒落たタキシードなどの種類も豊富に用意されているようです。たまのお祝い事にはこのように蝶ネクタイで参加するのも面白いかもしれませんね。レンタルであれば気軽に利用できるし、利用目的によって好みの礼服を選ぶこともできます。
そしてサイズもピッタリで、太ったからと言って妻の小言を聞く必要もありません。「今すぐ痩せてよ!」なんて聞きたくないですからね。
大人になると必ず用意しなくてはならない礼服ですが、これからはその必要はないようです。私も利用して初めて理解しました。これからの礼服はレンタルが主流になると・・・。